接客で学んだ「聞く」ということ

「話し上手より聞き上手」という言葉がありますが、接客の仕事をしていた頃、この言葉の意味を何度も考えることになりました。

お客様と話す仕事をしていると、最初は「何を話せばいいんだろう」と悩むものです。面白い話をしなければ、気の利いたことを言わなければ、と焦る時期がありました。

うまく話そうとして失敗したこと

駆け出しの頃、一生懸命話題を用意して、自分から話しかけることばかり考えていました。でも、そうすると会話がどこかぎこちなくなる。相手の反応を見る余裕もなくなって、結果的に空回りしてしまうことが多かったように思います。

ある時、先輩から「あなた、お客さんの話、ちゃんと聞いてる?」と言われて、はっとしました。

自分では聞いているつもりでしたが、実際は次に何を話すかを考えながら、上の空で頷いていただけだったのかもしれません。

「聞く」と「待つ」の違い

それから意識を変えてみました。相手が話している間は、本当にその話だけに集中する。相槌も、ただ「うんうん」と言うのではなく、話の内容に合わせて変える。

すると不思議なことに、会話が自然と続くようになりました。こちらが無理に話題を探さなくても、相手が自分から話を広げてくれることも増えました。

聞くというのは、相手が話し終わるのを「待つ」こととは違う。

この違いに気づけたことは、仕事を離れた今でも、自分の中で大切にしていることの一つです。

日常の中で

接客をしていた時ほど、誰かと長く話す機会は減りましたが、友人との会話や、たまに会う家族との時間でも、この意識は役立っています。

スマホを見ながら話を聞いてしまったり、自分のことを話したくて相手の話を遮ってしまったり。そういう瞬間に気づくと、「ああ、また聞けてないな」と反省することもあります。

完璧にはできなくても、「聞こう」と意識することだけは続けていきたいと思っています。

人の話を聞くって、簡単そうで難しい。でも、だからこそ意味があるのかもしれません。